作品について

今回HPや公演ビジュアルにて記載している作品コメントの通り『自殺』についての物語です。

「休みの日に、時間とお金を使ってなんでこんな気持ちにならないといけないのか?」

というようなお言葉を頂くことがあります。
『こんな気持ち』とは、主に『暗い』『重い』『辛い』など、どちらかと言えばスッキリとはしない種類の感情だと思います。

前回公演『とりあって』は、企業の体制や権力構造により弱い立場に重圧が掛かることで起こる『パワーハラスメント』を題材にした作品です。
『とりあって』は、ある会社に属した、ある種社会性を持った人たちがすれ違い、軋轢が生まれていくのですが、今回は『古くからの友人関係』の中で起こる『いじり』を通り越した『いじめ』の物語です。
今作品は『とりあって』より、社会性をより保たないでよい関係性で物語が展開します。

つまり先ほどの

「休みの日に、時間とお金を使ってなんでこんな気持ちにならないといけないのか?」

という感想がより出やすい作品になっています。

作品を作る以上、悪戯に観客を傷つけにいくのは罪が深いと感じながら創作をしております。
しかし、虚構でありながら、現実の社会と地続きの現実問題として受け取れるような物語を創作していく上で、記号的なものとして展開するのもまた不誠実だと感じております。

一緒に目の前で『事件、トラブル、軋轢』をお客様と目撃していくことを創作のベースにしており、今回の作品では『目を背けたくなる瞬間』『あまりの不謹慎さに苦しくなる瞬間』が散りばめられております。

ご観劇頂く皆様の心を脅かすことも目的にしてはおりませんが『人間の内面に起きる事件性』を描いている中で手を抜くことはせず、その内面に起きる共有こそ『人間(俳優)が目の前に存在して展開される舞台だけの強み』だと思っております。

観ていただく方の心の安全も蔑ろにせず、それでも苦しく、辛い瞬間もある作品です。

ただし、登場人物は皆ユーモラスで思わず笑ってしまうこともある作品でもあります。
どうか豊かな心でご観劇頂けたら幸いです。

ご来場心よりお待ち申し上げます。

かわいいコンビニ店員飯田さん 主宰 池内風

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